地域の力を丸ごと借りて、復活へ向け歩む商店街
子どもがお小遣いを握りしめ、商店街の書店を訪ねました。買い物を終え、本を大事に抱えた子どもは八百屋に寄り道。出迎えた店主に「初めて一人で本を買った」と、誇らしげに伝え、帰路を急ぎます。こうした古き良き時代の風景、対面での温かなやりとりを、今も守り続けているのが泉大津中央商店街です。
1964年、戦前に発足した田中商店街からの改称とアーケード設置を行い、新たに誕生した泉大津中央商店街。かつては泉大津市の中心といわれ、通りを歩けないほどのにぎわいを見せていました。しかし、お客様の数は少しずつ下降線を描き、2010年の火災で商店街の4分の1にあたる店舗が焼け落ちたことが追い打ちとなって、街の勢いは失われたかのように思われていました。
そんな折、50数年にわたって商店街を守ってきた先輩商人たちに合流したのが、近隣で事業を営む若い力でした。先輩商人が築き上げてきた地域との深い信頼関係と、若手のアイディア・実行力とを掛け合わせ、さまざまな企画を打ち出している泉大津中央商店街。アーケードを生かし、天候に左右されないイベント「雨でもマーケット」やスタンプラリーの実施に加え、新しいテーマである”みんなに優しい商店街”の実現へ向けてコツコツと環境の整備を進めています。
「昔ながらの雰囲気を残す商店街に、以前のにぎわいを復活させる」。そんな強い思いを受けて、応援者が続々と集まっています。
住所 |
〒595-0065大阪府泉大津市若宮町6 |
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SNS |
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インフォメーション
商店街インタビュー
商店街の認知度向上に取り組んでいます。まず着手したのは、商店街のウィークポイントの把握でした。一つはアーケード。せっかくの屋根も、解体にかかる費用を考えると、もっと活用したいところです。そこで考えたのが、アーケードを生かしたイベント「雨でもマーケット」。店舗前のスペースを出店希望者に貸し出して、商店街の端から端までを出店ブースでいっぱいにしました。 レンタルスペース「風街」では、マーケット開催以前から、小物やアクセサリー、手づく りパンづくりなどの講習を無償で実施しています。10月から2025年1月にかけては、地場産業である毛布を隔週で置き、皆さんに触れてもらえればと考えています。
泉大津中央商店街でも、店主とお客様の高齢化は見られます。ただ、お年を召したからといって、商店街に来なくなるわけではありません。それならば高齢の方も過ごしやすい環境を商店街につくればいい。シンプルな事実から、新しく打ち出したのが、「みんなに優しい商店街」というテーマです。障がい者の自立生活を支援する地元のNPO法人に協力してもらい、障がい者視点でのバリアフリー整備を進めています。障がい者の移動を助けるスロープは、高齢の方や、観光客のキャリーケースにもやさしい。いろいろなところで誰もが活用できる"やさしい"で、商店街を満たしていきたいですね。
商店街から徒歩10分ほどの場所にある「SHEEPATH PARK(シーパスパーク)」です。老朽化によって取り壊された市民会館跡地を活用して、2023年に誕生しました。この公園には、遊具も何もありません。何もないから、何でもできる。シーパスパーク・クラブメンバーという市民有志が主となって、何でもできる公園をどう育て、どのように活用していくかを話し合っています。そういう運営方針がすごくいいですね。既に各種イベントが実施されているので、参加するもよし、クラブメンバーとして運営に関わるもよしだと思います。
泉大津中央商店街復活プロジェクトは、『このままではまずい。みんなで商店街の問題を根っこから見直さないか』という若手の提案から始まりました。現状を冷静に分析した言葉を、先輩商人たちもまた冷静にうけとめ、こうして商店街一丸となった取り組みが動き始めたのです。 『先輩たちは、僕たちの提案を否定しない。"じゃあ、やってみようか"と力を貸してくれます。それが本当にありがたい』と若手が言えば、先輩商人たちも『若い人たちが腹を割って提案してくれたことが嬉しくて、一緒に頑張ろうという気持ちが湧きあがった』と答えます。 強い絆で結ばれたチームが進めるプロジェクトは、まだまだ土台作りの真っ最中。魅力も新たに創出中です。屋台を導入して希望者に貸し出す構想も温めているので、皆さんにどんどん関わっていただけたら嬉しいです。
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