富田林西口商店街・カルチャー「旧杉山家住宅」
江戸時代に富田林寺内町(とんだばやしじないまち)に建造された杉山長左衛門の邸宅。約3年にわたる半解体修理を経て美しく保存された建物は、1983年に国の重要文化財に指定されました。
長左衛門は、寺内町の創建に関わった「富田林八人衆」の一人。1685年に酒造株を取得し成功をおさめ、最盛期には約1,000坪の敷地があったといわれています。
現在の邸宅に酒蔵部分は残っていませんが、玄関を入ってすぐの広い土間、9つあったとされる釜のうち3つが復元された独立型のカマヤ、「田の字型」の間取りなど、南河内独特の町屋造りを見学できます。
京都から能や狂言役者を呼んで芸を披露させたという2間(約3.6m)もある床の間や、狩野派の絵師による障壁画、茶室といった設えからは、往時の華やかな暮らしを垣間見られることでしょう。
邸宅の最後の当主が、明治時代に与謝野晶子や山川登美子らとともに『明星』で活躍した歌人・石上露子(いそのかみつゆこ、本名杉山タカ)であった点も見どころのひとつです。
露子が愛した奥座敷をはじめ、アール・ヌーヴォーが日本で流行した時代、露子が父親に頼んで造ってもらった螺旋階段など、邸宅を通して当主の人柄にもふれられます。
露子が歩んだ人生や、代表歌「小板橋」も展示されていることから、歌人・露子の足跡を辿ることも。
寺内町、富田林西口商店街の周辺にはほかにも、江戸期・明治期に建てられた旧家が残っており、「日本の道100選」に選出された情緒あふれる城之門筋もあります。ぜひゆったりと散策してみてはいかがでしょうか。
■料金
大人400円
小人(6~15歳以下)200円
団体(20人以上)大人300円、小人150円