船場センタービル・こだわり店「まるか」
1956年、先代店主が船場で紳士洋品の卸店として創業した「まるか」。船場センタービルがオープンした1970年に、8号館の地下1階に店を移し、以来この場所で営業を続けています。
店頭にはネクタイやベルトなどの紳士洋品が並びますが、店の奥にある飾り棚や陳列台には、現店主の谷純一さんが集めたブリキのおもちゃや木彫りのデコイ、昔のカメラといった懐かしい品々も。眺めるだけでワクワクするコレクションであふれています。
なかでもこだわりがあるアイテムは、アンティーク時計です。ロレックス、ロンジン、オメガ、パテックフィリップなど、1930~1940年代の時計を中心に、約150本を取り扱います。
谷さんが30歳になった頃、「そろそろ自分もよい時計を身につけたい」と、趣味で集め始めた腕時計。それをお店のショーケースに入れていると、譲ってほしいと言うお客様が。この出来事が、時計販売を始めるきっかけとなりました。今では雑誌などでたびたび取材を受ける品揃えとなり、遠方からもお客様が訪れます。
「アンティーク時計の魅力は、現代の時計よりも温かみが感じられることです」と、谷さん。ネット販売はせずに対面販売にこだわる理由を、「自分が好きで仕入れた時計なので、本当に大切にしてくださる方に使っていただけたら」と話します。
お店では、アンティーク時計の修理も受け付けています。「お父さんから譲り受けた古い腕時計や、若い頃に愛用していた腕時計を、もう一度動かして身につけたいという思いに応えていきたいですね」
店の看板や木彫りの置物を手作りしたり、英国のスポーツカー「MG」でクラシックカーレースに参加したりと、多彩な趣味を持つ谷さん。壁に飾られた写真を見ながら趣味の話を聞くのも楽しいひとときです。「このお店が、アンティークに興味を持つきっかけになってくれたら嬉しいですね」と微笑んでくれました。
一見、ネクタイ店のように見えながら、実は珍しいアンティーク時計や小物を取り扱う隠れ家のような「まるか」。船場センタービルと共に歴史を重ね、個性あふれる輝きを放っています。