せんば心斎橋筋商店街・心斎橋筋北商店街・カルチャー「難波神社」
心斎橋と本町のほぼ中間地点、御堂筋沿いに建つ「難波神社」。反正天皇が現在の松原市に都を移された406年に、父帝である仁徳天皇をしのんで創建したと伝えられています。その後、豊臣秀吉が大阪城を築城するにあたり、現在の場所へ遷座されました。
境内では仁徳天皇をご祭神とする本社、博労稲荷神社などとともに、大きな御神木の楠を見られます。
「御神木の樹齢は400年以上。戦火のなかたくましく生き残った、市内中心部で最古の楠といわれています。大阪市の保存樹第1号でもあるんですよ」と教えてくれたのは、禰宜の前川建(たけし)さんです。
前川さんはさらに、古来より続く祭典行事のうち、2つについて教えてくれました。
まずは、6月8日に行われる「菖蒲神事」(あやめ祭)。昔、老婆が端午の節句に花菖蒲をお供えした故事にちなみ、境内で育った花菖蒲を御神前にお供えする神事です。菖蒲を刈り取る所作を含む神楽「菖蒲刈り」を、2人の巫女が舞う祭典は、自由に見学できます。
もう一つが、7月20日(宵宮)・21日(本宮)に行われる夏祭「氷室(ひむろ)祭」。
「和太鼓の舞台や屋台の出店もあり、境内は多くの人でにぎわいます。製氷関係の協会から氷柱を奉納していただきます。また、夕方からかちわり氷を参拝の皆さんに授与しています。この氷をいただくと、夏負けせずに過ごせるといわれているんですよ」と、前川さん。
そのほか、11月15日(休日の場合は変更あり)には博労稲荷神社の神事である「火焚祭」、毎月1日と節分の日には、湯釜で沸かした湯を巫女が笹で四方に振りそそぐ「湯立神楽(ゆだてかぐら)」など、難波神社はさまざまな伝統神事を現代に継承しています。
1811年、植村文楽軒が境内に人形浄瑠璃の小屋を建てたことから、文楽発祥と地としても知られる難波神社。境内東側の門外には、「稲荷社文楽座跡」の石碑が建てられています。
「都心にありながら静けさをたたえた神社へ、地元の方をはじめ海外からの旅行者もお参りにみえます。あやめをデザインした可愛らしいお守りに、福を招く”ぎんなん守り”、通常の御朱印のほか “氷室祭 渡御絵巻御朱印”も用意していますので、参拝の記念や旅の思い出にしていただけたらと思います」。