芥川商店街・「高槻市立歴史民俗資料館」
阪急高槻市駅から南へ徒歩約10分。高槻城公園にある梅林の隣に、「高槻市立歴史民俗資料館」があります。
資料館の建物は江戸時代のもの。高槻町の阪急沿線沿いにあった大きな商家「旧笹井家住宅」を移築・移転し、1982年から資料館として活用しています。保存状態も良く、当時の家の造りを伝える建築として、高槻市の有形文化財にも指定されています。
そんな資料館の入り口を一歩入ると、広い土間と高い屋根裏が見渡せます。天井板がないので、屋根を支える骨組みの構造がよくわかるのが特徴です。
瓦葺屋根を支える構造は、世界遺産の白川郷(岐阜県)に代表される合掌造にもみられるサス構造と、日本度伝統的な小屋組のハイブリット。サス構造や入口が棟方向にある妻入りのスタイルは、京都・亀岡あたりではよく見られるそうで、こうした建物の造り一つからでも当時の地域的なつながりが見えてきます。
土間には、昔のくらしを伝える道具類が並びます。江戸時代に考案された稲作の道具、唐箕(とうみ)や唐竿(からさお)、明治時代に広まった炭火アイロン、昭和時代初期の蓄音機など、レトロ感満載。ひときわ目を引く大きな甕は、愛染屋さんが染料を入れていた「藍甕」で、今も「紺屋町」と地名が残るJR高槻駅南側あたりで使用されていました。
資料館では、けん玉や折り紙といった昔の遊び体験や、綿の実から糸を紡ぐ体験教室などを適宜開催しています。人気の体験はビニールロープを使った草履編みで、定員30人に対して100人が応募したこともあったとか。
西国街道や淀川を利用して、多くの人や物資が行き交った高槻城下町。育まれた産業や文化のなかで、生き生きと暮らす人々の様子が垣間見える資料館です。