堺山之口商店街・ 体験「和泉利器製作所(堺刀司)」
大阪唯一の路面電車・阪堺線の神明町駅から徒歩約1分。「打物所」の看板を掲げた風情ある町家を本社とするのが、1805年に創業した堺刀司です。
同社が扱う「堺打刃物」は、堺を代表する伝統産業の一つ。その起こりは、仁徳天皇陵古墳の造営時期にまで遡ります。甲子園球場が約12個も入る大規模な古墳の造営には、多くの鍬や鋤が必要でした。こうした掘削道具を作るために全国から集められた鍛冶職人らが、役目を終えたあと堺に定住。堺独特といわれる分業制を確立し、鍬や鋤を作り続けたといいます。
「鍛冶なら鍛冶、研ぎなら研ぎと、昔の職人は一つの技術を追求していました。連携して一つの製品を生み出すのが一般的だったのです。昔ながらの製造工程を現代に伝えているのが、分業制というわけですね」。こう教えてくれたのは、堺刀司の新木さん。分業制が堺打刃物に与えている影響についても話してくれました。
「職人が標準以上の技術を身につけるには、10年以上はかかります。全ての作業工程に関わるよりも、一つに専念したほうが、技術を高めていきやすい。また、分業制では職人がお互いの仕事ぶりをチェックしあい、場合によっては助言をしたりもします。この仕組みが職人の切磋琢磨と、堺打刃物のクオリティ向上につながっているのです」。堺刀司では、こうして出来上がる堺打刃物の製造販売のほか、この伝統産業の歴史を伝える堺刀司庖丁歴史資料館の運営や、包丁の研ぎ体験も提供しています。見るぶんには簡単そうに見える包丁研ぎ。『砥石に包丁を当て、押す時には力を入れ、引く際には入れない。反対側の面に対しては、押す時に力を入れず、引く際に入れる』など、“包丁の切れ味が最も増す研ぎ方”は、ふだん研いでいる方でも苦戦するのだとか。
「全国で流通している打刃物の9割は堺打刃物。皆さんのお手元にある包丁が、堺打刃物である可能性もあるかと思います。堺打刃物は、メンテナンスをしてあげると10年、20年と使い続けられるもの。資料館見学や研ぎ体験を通して、堺打刃物は『皆さんと長くお付き合いできるものづくり』によって作られていることを知っていただけたらと思います」。
【見学・体験の詳細】
受け入れ可能な曜日・時間:10:00~17:00(平日)
※土曜・日曜・祝日・年末年始のご要望は、要相談。受け入れ人数:2名から、最大10名まで。
※一度に体験可能な人数の上限が10名のため、10名以上の場合は2回に分かれていただくなどして対応しています。
所要時間:30~40分
見学・体験費用(いずれも税込):
1,100円(堺刀司庖丁歴史資料館見学)
2,200円(包丁研ぎ体験)
※可能なかぎり、ご自宅の包丁をお持ちください。切れ味の違いをご実感できます。
3,000円(堺刀司庖丁歴史資料館見学と包丁研ぎ体験)