動物園前一番街・二番街 自慢「南自由軒」
巨大なオムライスの看板が圧倒的な存在感を放っています。大正10年(1921年)創業の「南自由軒」は、昔ながらの愛される味で庶民のお腹を満たしてくれる大衆洋食堂です。100年続く味を守るのは、3代目の小林清一さんです。
初期はうどんや丼、卵焼きなど、和洋かかわらず何でもつくっていたそうです。時代とともにブラッシュアップされ、洋食が残っていったのでした。古い洋食店に「明治軒」「西洋軒」「自由軒」などの名称が多いのは、もともと「軒」が洋食店を表す屋号だったからです。
看板メニューのオムライスは、注文の8割を占めるほどの人気です。ライスの具がチキンではなく牛肉であることと、100年もののオリジナルデミグラスソースが大きな特徴です。小林さんはお店を継ぐまで梅田のフレンチレストランで修行した経験があります。「他の店も知っておかんとあきませんから」とのことですが、オムライスのあの至高のデミグラスソースには、フレンチで培った腕前が発揮されているに違いありません。
「デミグラスソースは、秘伝のタレやスープみたいに“継ぎ足し”ができないので、毎日一からつくる必要があります。それでも100年以上味を守っています」と小林さん。まさにお店だけではなく商店街自慢の味です。
卓越した熟練の技で、美しいオムライスの完成!
店頭の看板に書かれたコピーがまた秀逸なのです。
「ここのオムライス 今の通天閣より年上なんやで。」
「オムライス 追求してたら 100年経ってました。」
食べないと損するような気分にさせられる……そんな魅力を感じるお店です。