岸和田駅前通商店街「神谷茶舗」神谷 善一さん
岸和田駅前通商店街の中でひときわめだつ、古めかしい木の看板を掲げた店があります。「神谷茶舗」という、100年以上続く老舗です。
現在店を切り盛りする3代目店主、神谷さんの祖父が商いを始めた当時は、辺り一面は田んぼばかりと、同商店街ができるずっと前から存在する重鎮的存在です。店には、年期の入った茶壷や木箱が並び、歴史を感じます。一見重厚でクラシックな店内ですが、ジャズが大好きという神谷さんが所有する2000枚ものレコードの中から一枚のジャケットが飾られ、ジャズが流れています。和風モダンなムードに、気負いなく暖簾がくぐれそうです。
「他店と同じで特別なことは何もない」と話す神谷さんですが、「ちゃんとしたモンを提供したい」という思いはどの店にも負けません。ちゃんとしたモンとは、ちゃんとした茶葉のこと。ペットボトル飲料での日本茶は、神谷さん曰く、「ほとんどがうまみ成分を足して作られた味」だそうで、急須で淹れた本来の日本茶の味を知って欲しいと話します。「うちは、甘味料も何も足していない純粋な状態の茶葉しか扱いません」ときっぱり。
茶の好みは十人十色。神谷さんは「どの味が正しいと押し付けられない」としながらも、「一度はちゃんとしたモンも味わって欲しい。まだまだホンマモンを提供したいから、体の続く限り店を続けます」と、これからも伝統の味を提唱していきます。