天神橋三丁目商店街 「前田豆腐店」前田一朗さん
同商店街の「前田豆腐店」は、これまでメディアに何度も取り上げられている有名店です。15歳の頃から豆腐づくりの仕事をしている前田一朗さんが奈良での修行を経てご兄弟と一緒に店を立ち上げて以来、半世紀以上に渡ってこの地で商売を続けています。
豆腐づくりのこだわりは余計な添加物を一切使わず、とにかく大豆の風味を生かすこと。市販のものと比較にならない大豆の使用量がこの上なく上品な風味を生み出し、口に運ぶと濃厚かつふわふわ、つるつる、なめらかな食べ応えがやみつきになってしまいます。
そんな豆腐を、摂津市にある自社工場で早朝から手づくりし、店に運んでお客様とのやり取りを楽しむ一朗さんは、営業時間中、老若男女を問わず実にたくさんの人から声をかけられます。小さなお子様を連れたお母さんが買い物にやってくれば、そのお子様を愉快にあやし、初めてのお客様がたずねてくればどんな料理がおすすめかを親切にレクチャー。近くで暮らす人たちの中にも顔見知りが多く、小学生の子どもが下校時に通りかかってあいさつも早々に今日の出来事を話し込んだり、大学生くらいの女性が通りすがりに一朗さんとハイタッチをしたりと、まちの安らぎの象徴のような存在に。
「ベビーカーに乗せられている頃から知っているからね」と一朗さんは、まちと子どもたちへの愛情に満ちあふれた表情で話します。休日の海釣りを楽しみに、一郎さんは今日も極上の豆腐をつくり続けています。