諏訪森商店会・カルチャー 「南海本線 諏訪ノ森駅旧駅舎(西駅舎)」
南海本線諏訪ノ森駅の旧駅舎(西駅舎)は、1919年に誕生した歴史ある建築物です。木造平屋建て・洋風の建物には、特色あるデザインがそこかしこに施されています。
この地域は明治から昭和にかけて別荘地や保養地としての開発が進み、多くの人々でにぎわうようになりました。駅舎はそんなまちのシンボルとして、当時から現在まで地域の人たちに親しまれています。
建物の入口にはめ込まれた5枚のステンドグラスには、松林で知られる浜寺の海岸から淡路島をのぞむ美しい景色が描かれています。1998年には浜寺公園駅駅舎とともに、大手私鉄では初めて国の登録有形文化財になりました。
2020年、南海本線の連続立体交差事業に伴い、旧駅舎は仮駅の近くに移設。
「愛着のある駅舎を後世に残していきたいと、商店会や自治会、PTAを筆頭に、住民が協力して活動しました」と振り返るのは、NPO法人浜寺諏訪森を考える会・会長の長谷川琢也さんです。こうした努力が実を結び、移設には解体や再築をせず、建物をそのままの状態で移動させる曳家(ひきや)工法が採用されました。
大正時代のたたずまいを残す駅舎は、現在カフェやギャラリー、文化教室といった地域の交流スペースとしても活用され、その詳細はホームページで確認できます。工事が完成する頃には、新しいロータリーの一角に旧駅舎が配置される予定とのこと。
「諏訪森を愛する人々と一緒に、この場所からまちの元気を発信していきたい」と長谷川さんは話します。諏訪森商店会・会長の高田和夫さんも、「旧駅舎のチャレンジショップからスタートした洋菓子店が、いまでは商店会に店を構えてがんばっています。これからも連携して、活気あるまちづくりに励んでいきます」と教えてくれました。
2023年にはハロウインイベントを開催し、多くのファミリー層が旧駅舎や商店街を訪れるきっかけづくりも。また同駅は、上りと下りのプラットホームが離れている珍しい駅としても知られ、鉄道ファンも多く訪れるそうです。
大正ロマンが香る旧駅舎を、ぜひ訪ねてみませんか。