鳳本通商店街・カルチャー「大鳥大社」
御鎮座西暦113年より約1900年もの歴史を誇る大鳥大社は、かつて大和川から和歌山県手前の岬町まで広がっていた和泉国の、一之宮にあたる神社です。
御祭神は、日本武尊(やまとたけるのみこと)と、大鳥連祖神(おおとりむらじのみおやのかみ)。日本武尊が第12代天皇の景行天皇の御子であり、第14代天皇の仲哀天皇の父親であることから、大鳥大社が皇室にゆかりを持つことがわかります。
皇室とのご縁は、大鳥大社の拝殿などで見られる神紋(しんもん=神社の紋章)に、皇室の紋章である菊花紋が使われていることからも察せられます。菊花紋を使えるのは、天皇家と深い関わりがある神社仏閣のみ。大鳥大社がいかに由緒ある神社か、うかがい知れることでしょう。
そんな大鳥大社の本殿は、大鳥造(おおとりづくり)と呼ばれる建築様式。今あるお社は、1905年に落雷で焼失し、それから4年後に再建されたもの。屋根は2017年の台風被害でふき替えたばかり。現在の銅の色合いは、ふき替えてから10年ほどしか見られない貴重な色です。
こうしたお社を囲むように立ち並ぶ木々は、千種(ちぐさ)の杜とも呼ばれ、地域の人々や参拝者にとって、喧騒から離れられる憩いの場になっているそうです。
大鳥大社では、千種の森をモチーフに毎月デザインを変えた御朱印「大鳥の四季」を用意。四季が感じられる美しい御朱印を、心待ちにする参拝者も多いといいます。
大鳥大社で権禰宜を務める河野将也さんは、「御朱印を通して、大鳥大社の歴史などにも興味を持っていただけたら嬉しいですね」と、話してくれました。
楽しい思い出をつくってもらえればと、おみくじにも工夫をこらしている大鳥大社。一般的に、おみくじには吉と凶がありますが、大鳥大社では凶を「強」として、金箔や銀箔を施した「強運」の勝みくじとしています。初詣などの際には、参拝者が「強運」くじを狙って列をつくるのだとか。
大鳥大社のように日本武尊を祀る神社は、勝ち運や武運など勝負事にご利益があるとされています。このご利益について河野さんは、「私たちも勝守をご用意していますが、勝つのは、相手に対してではなく、まず自分。自分に勝った結果、勉強やスポーツといった勝負ごとに勝っていける。自分に勝つための後押しをしてくれる存在が、神社や神様なのです」と、教えてくれました。
御朱印やおみくじをはじめ、参拝者に楽しんでもらおうという心に満ちた大鳥大社。歴史深い境内の澄んだ空気のなかで待つ神様へお会いしに、訪ねてみてはいかがでしょうか。