道明寺天神通り商店街・「飛鳥ワイン株式会社」
大阪の羽曳野市や柏原市エリアは、生駒山系の山すそを利用したブドウ栽培が昔から盛んでした。一時期は山梨県と日本一を競ったほどです。
なかでも大阪はデラウェアの一大産地でしたが、1934年の室戸台風が大阪のブドウ農家に大きな被害をもたらしました。国は救済措置として酒造免許を交付。ブドウ農家の人々は、生食用として出荷できなくなったブドウをワインにしたといいます。それが大阪のワイン生産のはじまりでした。
1934年に創業した「飛鳥ワイン」も、この出来事以来、自社栽培のブドウを使った高品質なワインをつくり続け、現在は年間約8万本を出荷しています。
飛鳥ワインの本社と工場、ワイン直売所は、近鉄南大阪線の上ノ太子駅から緩やかな坂道を北へ5分ほど行ったところにあります。その周辺には、あたたかい陽光を一面に受けて広がるブドウ畑が。
飛鳥ワインは5ヘクタールの畑で、デラウェアをはじめワイン専用の品種を20種類栽培。収穫は8月から9月頃までで、その後の仕込み作業は11月頃まで続きます。
収穫を終えた冬も、日当たりを良くするために畑の周囲に生い茂る木々を伐採したり、ブドウの皮や茎などを堆肥にして土作りを行ったりと、忙しい日々が続きます。
丹精込めて作られた畑で生まれた「飛鳥スパークリングシャルドネ」は2023年・2024年の日本ワインコンクールで2年連続金賞を受賞。「飛鳥シャルドネ」は2024年の銅賞に輝きました。
ワインをつくっている工場見学も定期的に行っており、そこではワインの製造秘話などを作り手から直接聞くこともできます。大阪のワインの歴史や秘話を知れば、その味もますます奥深くなることでしょう。