【商店街でぷらっと旅気分】 この企画では「商店街で半日遊ぶならどう遊ぶ?」をコンセプトに、お店や周辺の観光スポットをモデルコースとして紹介します。
船場センタービル(せんびる)は昭和45年(1970年)には大阪万国博覧会の開催に合わせ、地下鉄本町駅から堺筋本町駅を越えて東西に建てられました。平成27年には外壁をリニューアル、平成28年第36回「大阪まちなみ賞」において「建築サイン・アート賞」を受賞するなど芸術性も高く、最近では現代アート作家とコラボレーションするなどアートを楽しめるスポットとしても注目されています。
今回は芸術の秋にぴったりな船場センタービル(せんびる)をぷらっと旅してみましょう。
卯楽堂
まず最初に立ち寄ったのが、船場センタービルの西寄り、8号館2階の北通りにある「卯楽堂」。このお店は茶道具、華道具の専門店です。
店内の壁に100種以上の茶碗がずらりと並んでいる様は博物館さながら。茶道具を買い求める人はもちろんですが、「インスタ映えしそう」と茶碗に惹かれ立ち寄る人も少なくないとか。季節を表現した色鮮やかな茶碗から、千利休が愛用したといわれる「禿(かぶろ)の写茶碗」まで、眺めているだけでも楽しくなります。巷ではなかなか出会えない、宇治茶の老舗「小山園」の抹茶も取り扱っています。
都彩花
次に、少し東へ移動しましょう。5号館地下1階南側にある都彩花さんは、きもの、帯、和装小物を扱うお店です。
卸売りと小売り、どちらにも対応してくれます。店主の十川さんはまだ若手の二代目ですが、着物に対する知識、また着物文化を伝えていこうという情熱が言葉の端々から伝わってきます。間口の広い明るいお店には帯や反物が並び、また扇子などの小物も豊富に揃えられています。伝統的な和柄はもちろん、モダンな柄まで、美しい反物にうっとり。船場センタービルを楽しむ際にはぜひ訪れたいお店です。
Semba Mural Park
さらに東へ移動。船場センタービルの4号館と3号館の間には、大阪メトロの堺筋線が走っています。ビルの地下通路は、その線路をくぐる形で連絡しています。かつては殺風景な通路でしたが、開館50年を記念してリニューアル。総勢24名のアーティストが描いた壁画に埋め尽くされたSemba Mural Parkというスペースに生まれ変わりました。写真映えはもちろん、ちょっとしたおしゃべりや打ち合わせにも使えるスペースです。
堺筋幸作
せっかく3号館へ来たので、この辺りで食事にしましょう。3号館地下1階にある和食・堺筋幸作さん。創業は昭和45年(1970年)、つまりビルができたときから続く老舗です。店主自ら毎朝市場で仕入れてきた食材を使った魚料理が好評で、さらに米がおいしいと評判のお店です。全長1000メートルの船場センタービルの散歩に疲れたら、ここでゆっくりと食事を楽しむのはいかがでしょうか。
船場センタービル
最後に少し表に出て、外から建物を眺めてみましょう。上に高速道路が走り、下には地下鉄が通る船場センタービルの建物は、建設当時、世の中の気分を取り入れたかのような、まさに未来都市でした。本来、道路は「土木」、建物は「建築」とまったく分野が違うもので、このような構造は前例のないものですが、区分所有権を設定した特別な「道路占用」という解釈で、当時の建設省から認められた特例なのだそうです。この建物自体が一見の価値のあるスポットと言えるでしょう。
※おでかけの際は、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策の徹底をお願いいたします。