千日前道具屋筋商店街・自慢 和田厨房道具「砲金鍋」
同商店街の「絆具(つなぐ)」という統一ブランドによる商品展開は個人、店舗、企業ではなく、あくまで商店街が主体となってプロデュースする、全国的にも珍しい取り組みです。「つくる」「売る」「使う」のそれぞれに携わる人々をブランド名通り「つなぐ」ためのこの取り組みは、飲食店だけではなく地域振興のアイデアを求める自治体の関係者からも注目を集めています。
その一つである「砲金鍋」は、天ぷらを調理するためのもの。天ぷらの味を左右する熱伝導性と蓄熱性に優れた特性がありながらも、フライヤーなどが登場したことで製造が徐々に下火になり、ついには大阪でも製造をやめる町工場が相次いだ状況を憂慮した同商店街のメンバーが、砲金鍋の復活をめざして動き出したのでした。
中心人物の一人である和田厨房道具の専務取締役・和田佳之さんによると、「砲金(摩耗や腐食の耐性に優れた銅と錫の合金)自体をつくることはできても、天ぷらの調理に適した形に加工をするための技術がのこされていない」という点が一番の問題だったそうです。
そこで和田さんは、協力に名乗りをあげてくれた町工場の皆さんと一緒に、成型や研磨のための設備自体をつくることから議論を進め完成にこぎつけます。その甲斐あって初回分はすでに完売し、実際に店舗で使っている料理人の皆さんからも好評の声をいただいているとか。