道明寺天神通り商店街・自慢「料亭「梅廼家」の季節の魚の道明寺蒸し」
道明寺天満宮の向かい角に静かなたたずまいで建つ料亭「梅廼家」。明治八年の創業で、道明寺天満宮に訪れる賓客を長い年月、もてなしてきた歴史があります。ここで食べられる、自慢の名物料理が道明寺粉を使った蒸し物です。
道明寺粉(道明寺糒)の起源は千年以上も前、菅原道真公の伯母上・覚寿尼が道明寺に住んでおられ、道真公が筑紫に左遷された後、公を想い御供えした御飯のおさがりを人々に分かち与えたところ、これを頂くと病気が治ると評判になり、乾燥・貯蔵するようになったのが糒の始まりです。
江戸時代には将軍家に献納した後、諸侯の求めに応じて少量ながら生産されました。明治以降は一般にも販売されるようになりました。道明寺粉は毎日餅米を蒸して乾燥させた後、石臼で粗めにすり潰したもので、関西では和菓子の桜餅によく使われ、つぶつぶとした食感が特徴的な食材です。
料亭「梅廼家」ではこの道明寺粉を使い、季節の魚と共に蒸し物にして提供しています。「当店では出汁で戻し丸めた道明寺粉を季節の魚の切身で包んで焼き上げ、出汁をはった椀の中で蒸しあげます。こうすることで道明寺粉に魚の味が移り、料理として仕上がった時の一体感が増すのです」と話すのは「梅廼家」七代目のご主人、菰田昌寛さん。
道明寺粉を使った料理はばらつきやすく、調理しにくいため和食の熟練職人も敬遠しがちですが、そこはご当地の料理人。手をかけてでも美味しくなるよう時間をかけ、形がくずれてしまわないよう、細心の注意を払って仕事をしているそう。
「梅廼家」では夜は会席料理を提供している他、お昼はお弁当や天ぷら定食などリーズナブルなメニューをいただくこともできます。単品で道明寺蒸しを付けることもできるので、参拝の後にぜひ立ち寄りたいお店です。