瓢箪山中央商店街「精工堂」田町 照雄さん
サンロード瓢箪山のアーケードを抜けてすぐ東へ曲がると、時計・眼鏡・宝飾店の「精工堂」があります。田町照雄さんは、店を継いで50年以上の2代目店主です。
田町さんは「公認高級時計師」という資格を持っています。部品を自作し時計を製作できるくらいのレベルでないと取得できない資格だそうです。「どんな高級ブランドでも、メーカーに交換部品の在庫がない場合でも、壊れた部品を作って修理できる」といいます。田町さんにかかればどんな時計も再び動き出すとあって、「他所で断られてうちへ助けを求めに来る(笑)」こともあるとのことで、駆け込み寺でもあるそうです。どれほど難題でも相談されると「何とかしてやらんと」と、閉店後、23時頃まで修理することもあるそうです。
父の形見分けに貰った時計とか、亡くなった夫の代わりに腕時計をはめたいなど、思い出のある時計を持ち込む人が多くいるそうで、「時計にはその持ち主の思いがある」と田町さんは話します。それに応えられるこの仕事は、ご自身の誇りに違いありません。
長年この地で商売している田町さんに商店街の良さを尋ねると、人同士の触れ合いがあることと話してくれました。先日、年配の女性が「『この前電池を入れ替えてもらったばかりやのにもう止まったわ』と言いながら店へ来られて。えらいこっちゃと蓋を開けて交換した日付のシール見たら『2年前やで』って(笑) 『そうか、ほな交換しといて』 そんなたわいもない会話も商店街ならでは。そんな触れ合いの場を後世にも残していきたいと思っています」。