南地中筋商店街・「上方浮世絵館」 館長 髙野 征子 さん
大阪で江戸末期に制作されていた浮世絵を展示する「上方浮世絵館」の館長を務める髙野征子さんは、南地中筋商店街の母のような存在です。なぜなら、現在「上方浮世絵館」のある場所がご自宅だったこともあり、昭和40年(1965年)頃からの商店街の歴史を誰よりも知っているからです。当時はまだ道頓堀に角座や中座といった芝居小屋が立ち並び、お茶屋さんもあったといいます。
そんな髙野さんが「上方浮世絵館」をオープンしたのは平成13年(2001年)のこと。浮世絵収集を始めたのはその10年ほど前からです。理由は、髙野さんが淡路島に生まれ、幼い頃から人形浄瑠璃や芝居に親しんで育ったルーツにありました。浮世絵に出会った際、「大阪にこんなにも素晴らしいものが眠っているなんて」と感動したという髙野さん。そして、「浮世絵を多くの方に見ていただいたら喜ばれるのでは」と考え、周囲の反対を押し切って浮世絵館を開いたのです。
「上方浮世絵館」には常時約30点の浮世絵が展示されています。しかも3ヵ月に一度テーマを変えて、異なる絵に掛け替えるとか。この貴重なコレクションを見るために、老若男女様々な人が浮世絵館を訪れているそうです。質問があれば髙野さん自ら、浮世絵の解説や描かれた芝居の物語、さらには在りし日の道頓堀の姿について語ってくれます。事前に予約をすることで、浮世絵制作(摺り)体験ができるのも浮世絵館の魅力の1つ。10人以上集まれば、京都から専門の版画職人を呼んでの本格的なワークショップの開催も可能です。お求めに応じて法善寺界隈を案内するツアーも実施しているので、気になる方は問い合わせてみてください。