難波センター街商店街 「自由軒 難波本店」
ごはんとカレーが混ざり合い、生タマゴが乗っている「名物カレー」と聞けば、「自由軒」とピンと来る人は少なくないのでは。明治43年(1910年)、大阪初の西洋料理店として創業した「自由軒」。作家の織田作之助さんに愛され、短編作「夫婦善哉」に登場することでも有名です。
保温器のない時代に冷めたご飯でも温かく食べられるようにと創業者である祖父が考案した名物カレーですが、これほど長く多くの人から愛される理由を、4代目の若女将の吉田純子さんは「他所にはない味わいが、ハマる人には気に入って貰えるようです」と話します。スプーン1本で食べられることから「大衆洋食」と謳ってきましたが、その気取りのなさも一役買っていそうです。
最初はそのまま、次にタマゴをごはんとカレーにかき混ぜ、最後は好みでソースをかけてコクを出すと言った具合に、一度に3つの味が楽しめますが、「当時、タマゴは高級品。そのタマゴを乗せる発想が凄いと思います」と看板メニューの話をし出すと止まりません。
創業100年を超え、次の100年へ。「全国の方もそうですが、インバウンドが多かった時期は、一度来店した方が数年後にまた訪ねてくださることも珍しくありませんでした。だからといってチェーン化するなど欲張らず、ボチボチやっていったらエエと思います。地道に店の味を守るから世界中の人から『また自由軒に食べに行きたい』と思ってもらえるのと違いますか」と語ってくださいました。