八尾市商業協同組合「山徳天ぷら店」店主 久尾卓司さん
八尾天満宮鳥居横に寄り添うように店がある「山徳天ぷら店」は、ファミリーロードができた時から店がありました。現在もショーケースはなく、揚げたての天ぷらが次々と店頭に並べられていく昭和スタイルのお店です。店主の久尾卓司さんは、近所にある日本料理屋「山徳」が実家ですが、後継者がなく困っていた先代から声を掛けられこの店を継いだそうです。それから40年、先代よりも長く店を切り盛りしています。
「こだわりと聞かれても……」と困惑する久尾さんですが、天ぷらにするもずくは、沖縄にいる久尾さんの従妹から仕入れ、紅ショウガは、高知の農家に特注し、イワシは「大阪湾のモンが好き」と鶴橋の市場まで買い出しに出かけ、下処理から全て久尾さんが施すなど、聞けば聞くほどこだわりが出てきます。
また、自分がおいしいと思う物だけを提供する姿勢は頑なで、「たらの芽やふきの天ぷらは僕が好きちゃうから、なんぼ客に言われても置きません」ときっぱり。新作をあれこれ作るというよりは、定番のメニューをしっかり守っていくスタイルで、「冒険するのは好きちゃうねん。おすすめは15年前に出したもずく天ぷらかな。でもこれずっと人気ですよ。」とのこと。
自身も天ぷらが大好きと語る久尾さんの味が、今も同商店街を訪れる客に愛されています。