ララはしば商店街「木下商店」木下琴江さん
ララはしば商店街の一画にある青果店「木下商店」で、チャーミングな笑顔と大阪らしい話術で出迎えてくれるのが木下琴江さんです。昭和30年(1955年)創業の同店で働き始めて以来、長く地域住民に愛され、またその生活を支えてきました。今では「ララはしばのヌシ」と親しみを込めて呼ばれる存在です。
接客のときには「特に何も考えていない」と言う木下さん。しかし実際には、旬の野菜や果物、レシピなどの情報を織り交ぜた会話で買い物客を楽しませています。取材時も、「ごめんな、顔はええんやけど耳悪いんや。もうちょっと大きな声で言うてくれるか」「ちびるくらい働いたで。昔はもうちょっと背が高かったんや」と気さくに明るく会話をしてくれます。
かつては朝5時に起き、家族の朝食を作って自転車で出勤、そのまま夜まで働いていたそうです。店を引っ張ってきたパートナーが今年になって亡くなり、今は2人の子が切り盛りをしています。そしてその2人を支えるため、木下さんは現在もお昼前から数時間、店頭で接客をしています。
木下さんは、新型コロナウイルス感染症が流行するまで新舞踊を習っていました。白粉を塗り美しい着物姿で舞台も経験しました。器用なお孫さんが縫製した衣装でコスプレをして、家族を大笑いさせたことも。
夕飯を何にしようか、旬の野菜を食べたいな――。そんなときには、木下商店に行ってきいてみましょう。「今日何食べよかな?」