道明寺天神通り商店街「珈琲館 チェリー」上田 富保さん
地元のテレビ番組にも取り上げられ、その味と店主の人柄が名物になっているのが同商店街にある喫茶店「チェリー」。そんな名店で古くから親しまれている名物がカツカレーです。すべての具材が煮込まれ、溶け込んでいる超濃厚なルー。口に含むと甘み、旨み、香りが広がり、最後に心地よい辛みが追いかけてきます。
市販のルーは一切使わず、玉ねぎをチョコレート色になるまで丁寧に炒め、スープとバナナ、リンゴなどの具材を10日間もの日にちをかけて煮込み、出来上がります。カレーの上にのっているトンカツも注文を受けてから作るため揚げたてです。さくさくの食感が高級デミグラスソースのようなカレールーとマッチしています。
1977年創業時からほぼ同じ作り方、同じ味で勝負しているのが御年73歳の上田富保さん。ベストにYシャツといったトラディショナルな姿も完全に板についておられます。「開業時、どんなメニューを提供しようか考えた末、当時はまだ珍しかった本格派のホテルカレーを作ろうと妻と共にいろいろなカレーを食べ歩き、この味に至りました」と、上田さん。今でこそ具材が溶け込んだ本格カレーは珍しくありませんが、当初は「なんだこのカレー。ジャガイモもニンジンも入ってないじゃないか!」とお客さんに怒られたこともあるそう。
長い時間をかけて完成する「チェリー」のカツカレーは約半世紀もの間、一緒に店を切り盛りされてきた明るいパートナー共々、地元の人に愛される存在となっています。