ビオルネ店主会商店街・カルチャー「意賀美神社」
京阪枚方市駅から徒歩約15分。京阪本線の、木々が茂る丘の上にあるのが意賀美(おかみ)神社です。春には丘の中腹にある紅白の梅林を楽しみに、多くの人が訪れます。
梅林の隣にある標高31メートルの展望広場からは、ゆったりと蛇行する淀川や枚方大橋、川向こうの高槻市やその後ろにそびえる山々に至るまで、見晴らしのよい景色が広がります。昔は京都や大阪まで一望できたのだとか。この展望広場は、豊臣秀吉が建てた御茶屋御殿の跡地。秀吉が立ち寄った記録こそありませんが、江戸時代に入って2代将軍徳川秀忠や3代将軍家光が逗留した記録が残されているそうです。
意賀美神社の創建は、言い伝えによると2000年以上も前。古代日本の豪族だった伊香色謎命(いかがしこめのみこと)の館があった、現在の京阪枚方公園駅の辺りにありました。舟運の安全と水害排除祈願の「淀川の鎮守」として人々の信仰を集めていたそうです。明治に入って今の土地に移りましたが、昔と変わらず、淀川のほとりで人々を見守り続けています。意賀美神社の資料館には、薬師如来を助けた12体の善神のほか、「算額」も保管されています。
江戸時代になって寺社仏閣に奉納されるようになった算額とは、和算の問題やその解答を描いた絵馬のことです。意賀美神社には、大阪で活躍した和算の大家・岩田清庸(いわた せいよう)が奉納した、3つの幾何学問題を描いた算額があります。この算額を一目見ようと、東北大学や鹿児島大学など、遠方からも多くの研究者が訪れるほど。岩田清庸が算額を奉納したことで、意賀美神社は和算の問題や解答を披露しあう場にもなりました。
研究をしても、発表の機会がなかった時代に生まれた、日本独自の文化といえます。枚方市指定文化財に認定されているこの算額は、事前に申し込みをすれば誰でも見学できます。