城東商店街・レトロ「白泉堂」
人や自転車が行き交う城東商店街。にぎやかなメインストリートから一本入ったところに、昔ながらの駄菓子店、「白泉堂」があります。10円玉を握りしめて店に駆け込む子どもの姿が見えるような佇まいは、たまらない懐かしさを与えてくれることでしょう。店の奥にはカウンターとソファ。隠れるように置かれている喫茶店のメニューは、ソフトクリームやクリームソーダ、あずきソフトなど、さっぱりした甘さにこだわったクリーム系をはじめ、珈琲や紅茶、ミックスジュースまで40種類以上。かき氷は1年を通して提供されています。「お腹はもちろん心も満たしてくれる」と、甘い物好きの常連客が定期的に訪れては注文するそうです。
まるで昭和の時代にタイプスリップしたような雰囲気の店を切り盛りするのは、高柳さんご夫妻。
白泉堂の人気メニューは、駄菓子店のレジ横で焼く「イカ焼き」。駄菓子店を始める前から焼いていたそうで、喫茶店でいただくことも、持ち帰ることもできます。店主の高柳明弘さんは「昔は多かったイカ焼きの店も、すっかり少なくなって。皆さん、当店のイカ焼きは『大阪一美味しい』と言ってくれるし、関西を離れた常連客も『ここの味が懐かしい』と寄ってくれるから、辞めるに辞められなくてね」と、ニコニコお話しをしてくれました。
イカ焼きは5種類。その中の「いか玉子」(230円)は、たっぷりボリュームにもっちり食感ながら、あっという間に平らげてしまう美味しさ。気軽に食べて欲しいという思いから、価格も大変手頃です。
白泉堂は、高柳さんが50~60年前に始めたお店です。当時は駄菓子などの小売業に加え、アイスクリームを卸す卸売業でしたが、2000年頃に「子どもたちが喜ぶ駄菓子店をやろう」と、現在のような業態に変えたとのこと。「お菓子も喫茶も、今の時代は何でもやっていかないとね」。
駄菓子店の隅には、紐が下がったUFOキャッチャーのケース。お店でのお買い物ごとにチケットを渡し、そのチケットを10枚集めたお客様には、景品が結ばれた紐を1本引いてもらうのだとか。
「ハズレなしだよ」と笑う高柳さんは、大の子ども好き。「子どもたちからは元気をもらえるからね。いつまでも来て欲しいね」。
昭和レトロな雰囲気の駄菓子店と喫茶店が同居する、ちょっぴり不思議な空間は、訪れる人の心を和ませてくれます。