阪南市商業会連合会・事務用品「とぐち」 店主 戸口 哲さん
南海電鉄尾崎駅すぐの一画で事務用品を販売する「とぐち」。その歴史は第二次世界大戦が始まる前の昭和6年(1931年)にまでさかのぼり、令和4年(2022年)には創業91年を迎えました。店主を務める3代目の戸口さんは、2代目のお父様から事業を引き継ぎ、約30年になるとのこと。もともと跡を継ぐ気持ちはなかったそうですが、お父様が体調を崩したタイミングでお店を手伝うようになり、やがて店主に。経営の「ケ」の字も知らずに始まった経営者人生は、何もかもが手探りだったと言います。それでもどうにかやってこられたのは、「とぐち」を支えてくれるお客様の存在があったからこそだと教えてくれました。
そんな「とぐち」の理念は、「シャープペンシルの芯1本からでも配達するつもりで、常にお客様に寄り添ったサービスを提供すること」。その言葉どおり、シャープペンシル1本やボールペンの替え芯1本を持ってお客様のところへ車を走らせることも珍しくありません。事務用品は、他店と差をつけることが難しい商品。だからこそ、どこでお客様に満足していただくかを常に考えていると言います。
「昔ながらの商売しかできないんですよ」と笑う戸口さん。徹底して地域に寄り添う覚悟、それが老舗が老舗である所以なのかもしれません。