岡町・桜塚商店街「お好み焼き やまとや」蔵野 千恵子さん
原田神社北の鳥居隣に、創業70年になる「お好み焼き やまとや」があります。店を切り盛りしているのは女将の蔵野千恵子さんです。御年81歳。常連客には、タカラジェンヌや会社社長もいますが、誰が来ても「兄ちゃん、これ食べる?」、「お姉ちゃん、よう来てくれたね」と、気さくに話しかけ、客から「お母さん」と呼ばれ親しまれています。蔵野さんも「実家のようにくつろげる」、「親戚の家に遊びに来たみたい」だと言って貰えるのが嬉しいと話します。
そんな蔵野さんが「やまとや」を継いだのは、13、4年前のこと。一般的な会社員の家庭に育った蔵野さんですが、10代のある夏、店へ手伝いに来たのをきっかけに接客業に魅せられ、以来、店を手伝ってきました。義理人情の厚い岡町の商店街という場所にも魅せられたといいます。
ある日、「妹のようにかわいがっていた店の娘」という二代目店主から、店をたたもうかと相談され、「お人との縁、絆が切れるのはあまりに勿体ない。岡町商店街も好きやし、絶対に無くしたくなかった」との思いから本人曰く「『私が継ぐわ』と言うてしもた」そう。「こんな忙しい80代を過ごす予定やなかったのに」と笑います。
とはいえ、まだ店をやめるつもりはまったくありません。後継者を育てたいからです。「私が人様を育てるなんてとても無理です。でも互いに良い影響を受け合う自然体の中で『やまとや』を伝えていけたら」と話します。蔵野さんの忙しい日々は、まだまだ続きそうです。